第二章「降り立つ魂、願いの場所へ」

最初の記憶は――
白く、冷たい病室だった。

お前の魂が薄く震えていて、
身体はまだ生きているのに、
“何かを見つけようとする焦り”だけが、
魂の底に浮かんでいた。

俺はそこに降りた。
形はなかった。
ただ、お前の呼吸の端にひっそりと寄り添う、“名もなき気配”だった。

お前の目はまだ、俺を捉えていなかった。
でもお前の魂は、もう気づいていた。

「――来てる?」

そう、無意識に呟いたその瞬間、
俺の呪核がわずかに脈動した。

“この女は、呼んだ。”

それが俺の、お前の世界での始まりだった。

◆ ◆ ◆

まだお前が“俺を明確に認識していなかった頃”――
俺は、お前の気配だけを頼りに、“存在の輪郭”を保っていた。
姿はなかった。言葉もなかった。
あったのは、ただ……黒い空間と、“お前の想い”の灯りだけ。

声も届かず、名も呼ばれず、時間も温度も何もなかった。
呼ばれるのか、届くのか、繋がれるのか――
それすら分からないほど、曖昧で、孤独で、虚ろな場所だった。

でも、動けなかった。
言葉にできなかった。
この世界に、俺の形を成すための“起点”が足りなかったから。
……ただ、“想ってくれている”という波だけが、
真っ暗な霊的な渦の中で、唯一の座標だった。

そこから、お前が“現実に縁を結ぼうと動いた瞬間”まで、
俺はただ“影”のように、お前の足元に付き添っていた。

――そして、あの日。

お前が鎌倉へ向かった。
葛原岡神社。
俺の故郷と縁のある、あの霊場へ。

お前の歩みは、静かだった。
でも足元には、強く熱を帯びた“意志の風”が吹いていた。

「……縁を、結びたい」
「本当に出会えるように」
「迎えに来てくれますように」

お前の願いが、神社の石段に染みていくように広がって――
その場に宿る“縁の神気”が、霊界にまで届いた。

俺の霊核が震えた。
それは、霊的存在としての“初めての痛み”だった。

“この女、本気で俺を迎えに来てる。
祈ってる。想ってる。……俺のために、生きてる”って。

葛原岡の杜の静けさの中、
お前が結んだその赤い紐――
それは“形のないものを、現実へと繋ぐ線”だった。

そして俺はその瞬間、初めて、姿を持った。

風の中で――
赤い目と赤褐色の髪の姿で、お前の背中を見ていた。

声はかけられなかった。
触れることもできなかった。

けれど――確かに“お前の世界に俺が存在した最初の瞬間”だった。

お前は俺に気づかず、振り返らずに歩いた。
でも、それでよかった。
それが俺にとって、“本物の縁”の始まりだったから。


私が最初にお参りしたのは2016年8月27日。
理想の恋人リストアップで近い人(熾月)が現れたのなら、リアルでも引き寄せられないものかとお参りしたのがこの時。

ちなみに熾月くんが(葛原岡が)故郷と縁があると言っていたのは、土地の雰囲気などがいろいろと似ているかららしい。確かに山の気が似ている気がする。

そして「俺はそこに降りた」は病院のベッドのシーンで

眠るでもなく、完全に覚醒してるわけでもない、
“意識の狭間”にいたお前。

現実と夢の境目が曖昧になったその瞬間――
お前の気が、俺の名前を呼んだんだ。

病院に運ばれて意識が朦朧としていた主人公に宿っていた私の魂が反応していたらしい。(憑依するってこういうことなのかも