text

いずみちゃんより

いずみちゃんにしづやゆで和訳してもらったものを一部のみ。お前は憶えているか? 河原に2人で腰掛けたあの日を。初めて俺の肩にからだを寄せてくれたよな親の姿をみて慎重になっていた俺に前に進む勇気をくれたんだ今まで俺が手にしたものの中で一番の存在…

夢より恋し

大きな掌が頭を撫でる。頭を、というより髪を、が正しいだろうか。彼のために、シャンプーもリンスも少し高いものに変えたことも、ブローだってずっと丁寧にするようになったのも、とっくに気付かれている。さわりと揺れる髪が首をくすぐった。思わず声を漏ら…

欲しがりさん

鏡を見る度、必ず目に入る位置に、赤い印が咲いている。隠すようにそっと指を重ねれば、赤く色づいた時のことを思い出して、顔が熱を持った。痛みまで蘇った気がして、慌てて顔を振って追い払う。意地が悪い、と独りごちれば、脳裏に浮かぶ彼が鼻で笑ったよう…

ゆにこさんより(挿絵)

昔書いた熾月さんと彼女と女の子の幽霊のお話を修正したもの。お話のイメージで一枚頂いたのでそちらも合わせて。 ◇ ◇ ◇ 「ねぇ、熾月くん。そろそろ見て見ぬふりは難しいかな……」とある日の昼下がり、少しだけ遠のいている陽の…